炭水化物part1~体内での働き~

今回からpart1~4にわけて、炭水化物にスポットをあててお話ししたい
と思います。
炭水化物は大きく分けて、「糖質」と「食物繊維」に分けられます。
 
「糖質」は消化吸収されて、ブドウ糖に分解され、体を動かすエネルギー
になります。
また、脳や神経組織、赤血球などは通常はブドウ糖しかエネルギー源
としませんから、大きな役割をもっています。
特に脳は基礎代謝量の約2割のエネルギーを消費します。
 
【炭水化物が足りないことはあるの?】
通常の食事で、私たちは炭水化物が足りないということはないでしょう。
1日の基礎代謝量を1500kcalとすると、脳のエネルギーは1日300kcal
でブドウ糖75gに相当します。

脳以外の組織でブドウ糖をエネルギー源としているところもあるので、
ブドウ糖は1日100~200g必要と考えられます。

必要なエネルギーの20~40%に相当し、現在の日本人の炭水化物の
エネルギー摂取比率は60%位なので、優に満たしているわけです。
 
【もし不足したら・・・】
通常は欠乏症が出ることはありません。不足したら、体を構成している
たんぱく質や脂肪が分解されて、エネルギー源として使われるからです。
しかし、不足した状態が長く続くと、体たんぱく質が過剰に分解され筋肉
が減少します。

また、体脂肪が過剰に分解されれば、血液中のケトン体が増え、ケトン血症
になり嘔吐が起きたりします。

 
【とりすぎたら・・・】
肥満の原因として、とりすぎが問題になります。
余ったブドウ糖は、グリコーゲンとして蓄えられて、必要に応じ消費され
ます。
それでも余ってしまうと、体脂肪として蓄積されます。


 
 

アルコールもエネルギー源?

主に糖質を発酵して作られる酒、アルコール飲料の成分を「アルコール」と呼びます。
アルコールも実はエネルギーを発生させますが、アルコールは栄養素ではありません。

つまり栄養素の含まれないエネルギー源、俗にエンプティーカロリーといわれています。

第4のエネルギー源のようですが、栄養学上では無駄なエネルギーというわけです。
 
アルコールは体に必要な成分ではありませんが、適正エネルギー量について考える
ときに、アルコールのエネルギー量は無視できません。

「日本人の食事摂取基準(2005年版)」にもアルコールの項目がありますが、摂取基準が
設定されているわけではありません。
エネルギー量のみについての記載があります。
 
アルコール1gのエネルギー量は7.1kcal(物理的燃焼値・・・食品を燃やして発生する
エネルギー量)ですが、実際はアルコールの代謝が複雑なので、全エネルギーが利用
されるわけではないといわれています。
アルコールの利用効率は摂取量、食事量、代謝能力や身体状況などの条件によっても
変わります。
 
アルコール飲料はエネルギーをもっていますが、栄養素は微量しか含まれていないので、
ほかの食品との組み合わせが適切ではないと、栄養障害の原因になります。
 
アルコールのエネルギー量を減らそうと、無理に食事量を減らす方がいますが、エネルギー源
であるたんぱく質、脂質、炭水化物が減ってしまい、前に述べたPFC比が極端に変化して
しまう可能性があります。
食事の機会を失うことで、ビタミンやミネラルも不足しがちになります。
 
【適量の飲酒は・・・】
日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、しかし「適量」にも個人差あり!女性は男性に約1/2量
が適量といわれています。
 
適量の飲酒では「HDL(善玉)コレステロールが増える」「心臓血管疾患の発生率が低い」などの
報告があり、ストレス解消、疲労回復などの利点もあります。

しかし適量を超える飲酒は肝臓障害、神経系の疾患、胃などの消化管系の疾患、循環器、
呼吸器、生殖器など全身の器官に障害をもたらすことにもなります。

 
お酒とはほどよく楽しいおつきあいにしましょう。
基本はアルコールと食事は交換できません。
また、アルコールの代謝に関わる酵素の働きを助けるビタミンB1の消耗が激しくなりますので、
アルコールを飲む方は充分にとるとよいでしょう。