アルコールの種類 ~血糖値・尿酸値への影響は?~

「蒸留酒(焼酎など)なら血糖値を上げないから大丈夫」という方がいらっしゃい
ます。
日本酒、ビール、ワインなどの醸造酒は糖質を含み、焼酎、ウイスキーなどの
蒸留酒は糖質を含みません。
ここから「糖質を含む日本酒は血糖値を上げて、蒸留酒(焼酎)は上げない」
ということを言われる方もいらっしゃいますが、血糖値は糖質量だけに左右
されるのではなく、アルコールの濃度やインスリン分泌などへの影響も考慮
する必要があります。

どのアルコールも大きな差はないといわれていますので、適量を守るように
しましょう。
 
また、尿酸値が高い方で「プリン体の多いビールはさけ、焼酎にしている」という
方がいらっしゃいます。
尿酸はプリン体の分解により生じます。特にビールは他のアルコールに比べ
プリン体が多く含まれます。

「ビール以外のアルコールなら飲んでも大丈夫」と考える方もいますが、
アルコール量が増えると痛風発作の発症頻度が高くなります。
痛風(高尿酸血症)の原因の1つは、多量の飲酒でもあるので、どのアルコール
でもたくさんにはならないようにしましょう。
 

参考:日本栄養士会 健康増進のしおり

アルコールと肥満

アルコールはエンプティカロリーといわれ、ほとんど栄養素が含まれて
いません。
栄養バランスがくずれるばかりか食欲を増進させる働きがあるため、
つまみ量が増えて太る原因になります。
アルコールは脂肪の代謝を抑制する働きもあり、飲酒量が増えると
体脂肪が減りにくくなります。
適度な量を楽しむくらいにしておきましょう。
 
ごはん1杯分とアルコールのカロリーの比較
 
エネルギー
たんぱく質
脂質
炭水化物
食物繊維
ビタミンB1
ごはん1杯
(150g)
252kcal
3.8g
0.5g
55.7g
0.5g
0.03mg
ビール500ml
202kcal
1.5g
微量
15.6g
0g
0mg
焼酎80ml、
ソーダ120ml
158kcal
0g
0g
0g
0g
0mg
日本酒1合
(180ml)
185kcal
0.7g
微量
6.5g
0g
微量
ウイスキーダブル
(60ml)
135kcal
0g
0g
0g
0g
0mg
ワイン赤1杯
(100ml)
73kcal
0.2g
微量
1.5g
0g
0mg
 
健康日本21では、節度ある適度な飲酒は、アルコールにして1日20g程度と
されています。
健康や死亡率をふまえ、「節度ある適度な飲酒」が奨められています。
 
適度な飲酒量の目安(アルコール換算20g)
・ビール中ビン1本(500ml)
・ワイングラス2杯(200ml)
・日本酒1合弱(160ml)
・焼酎1/2合弱(70ml)
・ウィスキー・ブランデーダブル(60ml)

※1日アルコール20gの理由として、1日当たりのアルコール量が男性10~19g、
女性は9gまでが最も死亡率が低く、飲酒量の増加に伴い死亡率が増加している
ことに基づいています。

参考:日本栄養士会 健康増進のしおり

アルコールと食事

お酒とよい付き合い方をしていますか?
適度な飲酒はストレスを解消しHDLコレステロールを増加させる、
などの効果があるといわれています。

しかし、適量をこえた長期にわたるアルコール摂取は脂肪肝、
肝硬変、膵炎、食道がんなどのリスクを高め、さまざまな疾患の
原因となる可能性があります。
アルコールと食事量や栄養バランスを考え、お酒とよいお付き合いを
していきましょう。
 
お酒を飲む時、何も食べない、お酒をごはん(主食)の代わりにする方が
いらっしゃいます。
お酒だけでは身体に必要な栄養素をまかなうことはできません。
また、お酒のエネルギーを考えないとつまみでカロリー過多にもなってしまいます。

飲む時に気をつけておきたいこと・・・
     油を多く使ったつまみに注意。
揚げ物などは高カロリーです。アルコール、脂肪を多く摂取すると脂質異常症になりやすくなります。

     飲酒前、胃に食べ物を入れておく。
胃がからっぽの状態でお酒を飲むとアルコールの吸収が早くなります。乳製品などを食べておくと胃への負担が減ります。

     飲み会では、野菜も忘れずに。
外で飲む時は野菜が不足しがちです。サラダなど野菜をとるようにしましょう。
 
参考:日本栄養士会 健康増進のしおり

アルコールと血圧

「アルコールを飲むと血圧が下がる」という方が時々いらっしゃいます。
しかしそれは一時的なもので、「飲酒習慣のある方は血圧上昇の原因となる」ということを
知っておきましょう。
 
アルコールを飲むと一時的に血圧が少し下がり脈拍が増加します。
体内に吸収されたアルコールが酵素により酸化し、アセトアルデヒドという物質が
血中に増加して血管を拡張させるためです。
日本人の約半数はアルデヒドを処理する酵素の働きが弱いので、血圧の低下が
続いたり脈拍数が増加したりします。
 
しかしアセトアルデヒドがひき続いて酸化されて、血中濃度が下ると、血圧は
上がってきます。
アルコールを飲むと一時的に血圧は下がりますが、習慣的に飲み続け、飲酒量が
多いほど血圧を上げてきます。
 
また、酒の種類毎に血圧への影響を検討した研究では、アルコール量に換算すると
酒の種類による差はみられないと報告されていることから、アルコールの量そのもの
が血圧上昇に関連していると考えられています。
純アルコール量1日30g(ビール大瓶1本程度)を飲むと血圧が約3mmgHg上昇すると
いわれています。

また、アルコールの長期摂取で血圧が上昇するのは、アルコールとともにつまみや、
食事量が多くなり、食塩量が増え、肥満になることも原因と思われます。
休肝日を設けて、飲酒量も減らし、血管を健康に保ちたいですね。
 
参考:日本栄養士会HP