バターとマーガリンではどっちがいいの?
「トランス脂肪酸」についてマスコミなどでとりあげられることが
多くなりました。
そのためか、相談にて
「バターとマーガリンではどっちがいいですか?」という質問を
される方が、最近多くなりました。
VS
バターは動物性脂肪、マーガリンは植物性脂肪です。
トランス脂肪酸とは・・・
1.トランス型の二重結合をもつ、不飽和脂肪酸のことです。
ほとんどの場合、天然では不飽和脂肪酸はシス型で存在
しますが、加工油脂では加工過程でシス型からトランス型
になります。
マーガリンやショートニングなど加工油脂やその原料として
製造される食品に含まれています。
2.悪玉(LDL)コレステロールを増加させ、善玉(HDL)コレス
テロールを減少させる働きがあるといわれています。
また多量に摂取を続けた場合には動脈硬化などによる
虚血性心疾患の危険を高めるとの報告もあります。
日本におけるトランス脂肪酸の摂取
「平成16年度国民健康・栄養調査」における食品群別摂取量
から日本人1日あたりのトランス脂肪酸摂取量を推計したところ、
平均0.7g(摂取エネルギー換算、約0.3%)でした。
食用加工油脂の国内生産量から推計した1日あたりの
トランス脂肪酸摂取量は、平均1.3g(同、約0.6%)でした。
国際機関の対応
2003年「食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO
合同専門家会合の報告書」では、トランス脂肪酸の摂取量は
最大でも1日あたりの総エネルギー摂取量の1%未満とする
よう記載されています。
他、摂取量について方針を示したり、表示の義務化をしたり
する国もあります。
日本での対応
2004年、厚生労働省により策定された
「日本人の食事摂取基準2005年版」では、
「欧米諸国の研究でトランス型脂肪酸摂取量の増加は虚血性
心疾患のリスクを高めるとの報告があるが、日本人での摂取量
や各摂取レベルにおける安全性については未知である。」と
記述されています。
農林水産省では、トランス脂肪酸に関する文献調査や国内外
の情報収集を行い、リスクプロファイルを作成・公表しています。
今後の取り組みの必要性は・・・
調査結果から、日本人のトランス脂肪酸の摂取量は
総エネルギー摂取量の1%未満となり、世界の中でも少ない
傾向が示されました。
しかし平均値を使用しているため、脂肪の多い菓子類や食品の
食べすぎなど、かたよった食事をしている人の個人差はわかり
ません。
かたよった食事をしている人では、平均値を大きく上回る可能性
があります。
朝のパンにバターやマーガリンを少しぬるくらいなら、どちらでも
かまいません。
トランス脂肪酸だけではなく、脂肪のとりすぎ、飽和脂肪酸、
食事性コレステロールの多量の摂取も心疾患の危険を高めます。
食生活において脂肪全体の摂取について注意が必要なのです。