糖尿病性腎症とは・・・

前回は、糖尿病の合併症や治療についてお伝えしましたが、
今回は少し進んで、糖尿病性腎症についてお伝えします。
 
糖尿病のコントロールが悪く、10~20年の経過で、無症状で
進行します。
高度のたんぱく尿(ネフローゼ症候群)や腎不全で気付かれる
ことがしばしばです。
病状が進行すると、ネフローゼ症候群や腎不全となり、ついには
透析療法が必要となってしまいます。
 
「糖尿病から透析になっちゃうよ。」と指導された方も多くいらっ
しゃるとは思います。
しかし人ごとではありません。
 
透析導入患者の中で、糖尿病から透析となった患者の割合は
1983年には15.6%であったのに対し、2008年では43.2%にまで
増加しています。


                           透析導入患者の主要原疾患

主要原疾患名
1983年
2008年
糖尿病性腎症
15.6 %
43.2 %
慢性糸球体腎炎
60.5 %
23.0 %
腎硬化症
3.0 %
10.5 %
多発性嚢胞腎
2.8 %
2.5 %
慢性腎盂腎炎
2.4 %
0.7 %
急速進行性糸球体腎炎
0.9 %
1.2 %
SLE腎炎
1.1 %
0.8 %
不明
4.4 %
10.6 %
                                                                     (日本透析医学会より)
 
                                                                                            
糖尿病性腎症の症状
     たんぱく尿がみられます。
    微量アルブミン尿がみられ、進行すると顕性のたんぱく尿が
    みられます。(尿たんぱく定性試験で1(+)以上)
     たんぱく尿や糖尿のため、尿があわ立ち、消えにくくなります。
     ときに軽度の血尿をともないます。
     まぶたや下腿の浮腫(むくみ)、胸水、腹水、ネフローゼ症候群
     が高度な場合には全身性浮腫やうっ血性心不全を呈します。
     程度によって高血圧がみられます。
     尿量の減少(乏尿・・・1日400ml以下)。進行例にみられます。
     腎盂腎炎、腎髄質乳頭壊死
     尿中NGA活性、α1-β2-ミクログロブリン、Ⅳ型コラーゲンの高値、
     腎機能の異常
     初期   ・・・腎機能の高値、
     進行期・・・腎機能の低値、血中尿素窒素・血清クレアチニンの高値)
                   尿比重の高値
 

知らないうちに腎臓に負担がかかっている場合もあります。
糖尿病を放置しないようにしましょう。
また、病院にかかっていない糖尿病の方で異常値や上記の症状の
ある方は、すぐに病院で治療を開始してください。