糖尿病性腎症の食事療法の基本

前回は、糖尿病性腎症とは・・・についてお伝えしましたが、
2回目は食事療法の基本についてお話しします。
基本的なことをお伝えしますので、具体的な方法については
主治医の指示のもと、栄養相談を受け、実践しましょう。
 
(エネルギー量)
〇1日の摂取エネルギー量は
    標準体重〔身長m×身長m×22〕×30kcal
 
〇肥満で減量が必要な場合はさらに低下します。
    標準体重×25kcal
※注意:必要以上にエネルギーを制限すると、
    体内のたんぱく質が使われてしまいます。
 
(三大栄養素のエネルギー比)
糖質60%、脂質25%、たんぱく質15%程度とします。
しかし腎症の程度によりたんぱく質はさらに低下します。
欠食はせず、1日3回規則正しく、ゆっくり食べます。
 
(たんぱく質)
早い段階からたんぱく質の摂取量を減らすと、尿毒症物質の
産生や貯留が抑えられ、腎機能の低下が抑えられます。

体重1kgあたり1日0.8g前後となります。
     

(脂質)
動脈硬化、心臓疾患などを防ぐために、植物性油から
とるようにします。

1日60~65gくらい。
(腎症では、たんぱく質制限分のエネルギーを糖質と脂質で
補います。)
 
(糖質)
1日250g前後に制限します。

しかし1日100~150g以下にはしないようにします。
砂糖、ブドウ糖、果糖は吸収が早いため、インスリンの需要量が
増えるので1日10g以内とし、大部分は多糖類のでんぷんで補う
ようにします。

 
(塩分)
病期によって、1日5~8g前後に制限します。
高血圧の方はとくに注意します。
 
(水分、カリウム)
一般的に制限はありません。しかし、場合によっては制限
します。
乏尿、胸水、腹水などでは、水分1日900ml
高カリウム血症や腎不全では、カリウム1日1000mg前後
 
ビタミン、ミネラル(カルシウムや鉄など)、食物繊維が不足
しやすいので、気をつけます。
たんぱく質制限がきつい場合や、カリウム制限がある場合は
食品でとりにくくなるので、補助食品の利用をすると比較的
とりやすいです。
 

                                  

また、おかずへたんぱく質使用量を多くしたい場合は、主食に
たんぱく質調整食品を利用するとバラエティに富んだ食品の
組み合わせができます。

腎臓病の食事は、病期が進むにつれ複雑になってきます。
また、年齢や病状を主治医が総合的に判断して調整が行われる
場合も多いので、必ず、主治医や栄養士と食事管理について
相談しましょう。
 

    詳細はCKD診療ガイドの病期、糖尿病性腎症生活指導基準に順じます。
    腎臓病の食事療法には「食品成分表」を使用するとよいでしょう。
      また、使用できない場合は「腎臓病食品交換表」も簡便に使え便利です。