糖尿病性腎症の食事療法の基本

前回は、糖尿病性腎症とは・・・についてお伝えしましたが、
2回目は食事療法の基本についてお話しします。
基本的なことをお伝えしますので、具体的な方法については
主治医の指示のもと、栄養相談を受け、実践しましょう。
 
(エネルギー量)
〇1日の摂取エネルギー量は
    標準体重〔身長m×身長m×22〕×30kcal
 
〇肥満で減量が必要な場合はさらに低下します。
    標準体重×25kcal
※注意:必要以上にエネルギーを制限すると、
    体内のたんぱく質が使われてしまいます。
 
(三大栄養素のエネルギー比)
糖質60%、脂質25%、たんぱく質15%程度とします。
しかし腎症の程度によりたんぱく質はさらに低下します。
欠食はせず、1日3回規則正しく、ゆっくり食べます。
 
(たんぱく質)
早い段階からたんぱく質の摂取量を減らすと、尿毒症物質の
産生や貯留が抑えられ、腎機能の低下が抑えられます。

体重1kgあたり1日0.8g前後となります。
     

(脂質)
動脈硬化、心臓疾患などを防ぐために、植物性油から
とるようにします。

1日60~65gくらい。
(腎症では、たんぱく質制限分のエネルギーを糖質と脂質で
補います。)
 
(糖質)
1日250g前後に制限します。

しかし1日100~150g以下にはしないようにします。
砂糖、ブドウ糖、果糖は吸収が早いため、インスリンの需要量が
増えるので1日10g以内とし、大部分は多糖類のでんぷんで補う
ようにします。

 
(塩分)
病期によって、1日5~8g前後に制限します。
高血圧の方はとくに注意します。
 
(水分、カリウム)
一般的に制限はありません。しかし、場合によっては制限
します。
乏尿、胸水、腹水などでは、水分1日900ml
高カリウム血症や腎不全では、カリウム1日1000mg前後
 
ビタミン、ミネラル(カルシウムや鉄など)、食物繊維が不足
しやすいので、気をつけます。
たんぱく質制限がきつい場合や、カリウム制限がある場合は
食品でとりにくくなるので、補助食品の利用をすると比較的
とりやすいです。
 

                                  

また、おかずへたんぱく質使用量を多くしたい場合は、主食に
たんぱく質調整食品を利用するとバラエティに富んだ食品の
組み合わせができます。

腎臓病の食事は、病期が進むにつれ複雑になってきます。
また、年齢や病状を主治医が総合的に判断して調整が行われる
場合も多いので、必ず、主治医や栄養士と食事管理について
相談しましょう。
 

    詳細はCKD診療ガイドの病期、糖尿病性腎症生活指導基準に順じます。
    腎臓病の食事療法には「食品成分表」を使用するとよいでしょう。
      また、使用できない場合は「腎臓病食品交換表」も簡便に使え便利です。

糖尿病性腎症とは・・・

前回は、糖尿病の合併症や治療についてお伝えしましたが、
今回は少し進んで、糖尿病性腎症についてお伝えします。
 
糖尿病のコントロールが悪く、10~20年の経過で、無症状で
進行します。
高度のたんぱく尿(ネフローゼ症候群)や腎不全で気付かれる
ことがしばしばです。
病状が進行すると、ネフローゼ症候群や腎不全となり、ついには
透析療法が必要となってしまいます。
 
「糖尿病から透析になっちゃうよ。」と指導された方も多くいらっ
しゃるとは思います。
しかし人ごとではありません。
 
透析導入患者の中で、糖尿病から透析となった患者の割合は
1983年には15.6%であったのに対し、2008年では43.2%にまで
増加しています。


                           透析導入患者の主要原疾患

主要原疾患名
1983年
2008年
糖尿病性腎症
15.6 %
43.2 %
慢性糸球体腎炎
60.5 %
23.0 %
腎硬化症
3.0 %
10.5 %
多発性嚢胞腎
2.8 %
2.5 %
慢性腎盂腎炎
2.4 %
0.7 %
急速進行性糸球体腎炎
0.9 %
1.2 %
SLE腎炎
1.1 %
0.8 %
不明
4.4 %
10.6 %
                                                                     (日本透析医学会より)
 
                                                                                            
糖尿病性腎症の症状
     たんぱく尿がみられます。
    微量アルブミン尿がみられ、進行すると顕性のたんぱく尿が
    みられます。(尿たんぱく定性試験で1(+)以上)
     たんぱく尿や糖尿のため、尿があわ立ち、消えにくくなります。
     ときに軽度の血尿をともないます。
     まぶたや下腿の浮腫(むくみ)、胸水、腹水、ネフローゼ症候群
     が高度な場合には全身性浮腫やうっ血性心不全を呈します。
     程度によって高血圧がみられます。
     尿量の減少(乏尿・・・1日400ml以下)。進行例にみられます。
     腎盂腎炎、腎髄質乳頭壊死
     尿中NGA活性、α1-β2-ミクログロブリン、Ⅳ型コラーゲンの高値、
     腎機能の異常
     初期   ・・・腎機能の高値、
     進行期・・・腎機能の低値、血中尿素窒素・血清クレアチニンの高値)
                   尿比重の高値
 

知らないうちに腎臓に負担がかかっている場合もあります。
糖尿病を放置しないようにしましょう。
また、病院にかかっていない糖尿病の方で異常値や上記の症状の
ある方は、すぐに病院で治療を開始してください。

糖尿病について知ろう!~糖尿病の治療・・・

糖尿病の治療の目的は血糖値を正常にし、高血糖にしない
ようにすることです。

大きくわけて2つ、
まず、現在の血糖値を高くしないで、高血糖状態によって引き
起こされる症状や危険な状態(高血糖昏睡など)を回避する
ことです。
2つめに血糖コントロールを良い状態で長く継続させて、高血糖
による合併症の出現をくいとめることです。
         
治療の方法は、さまざまあります。
風邪のときのように皆がほぼ同じ薬を飲めばよいといった
ものではありません。

インスリンの分泌能力、肥満度、合併症の程度、年齢、
家族や周囲の人の協力体制などで変わってきます。

しかし、そのなかでも、食事療法と運動療法はすべての
糖尿病の人が実行しなくてはなりません。
その後、どうしても血糖コントロールがつかない場合には、
経口血糖降下剤やインスリン療法の適応になります。
 
治療の3本柱
   食事療法
糖尿病は体のエネルギー処理がうまくできない状態です。

原則としては少ないエネルギーを摂取して、多くのエネルギー
を使うようにすることが必要になってきます。
続けることで体は自然にエネルギーを大切に、効率よく
使えるようになるでしょう。

また、運動が好きな方は運動を十分していればいいという
考えの方が多くいらっしゃいます。
食事の方が普通に考えるより大きなエネルギーをもっています。
食事でとったエネルギーを運動で全部消費することは不可能
に近いことです。

②運動療法
余分なエネルギーを運動で消費し、血糖を筋肉などに効率よく
利用させる状態に保つことが目的です。
毎日続けて、少しずつエネルギー消費型の体質になるように
しましょう。

誰にでも手軽で負担がなく、効率的な方法としてはウォーキング
がおすすめです。

③薬物療法
経口血糖降下剤とインスリンの注射療法があります。
経口血糖降下剤は服用しているからといって、食事療法を
おざなりにしていると、体重が増えたりして薬の効果がないような
状態に陥ることがあるので、食事・運動療法は続けましょう。

インスリンは、注射でしか体内投与できません。
また、インスリンの種類や投与方法によって、食事療法の管理
方法も変わります。
インスリンに合わせた微調整が必要になります。
 
今回は、3回にわたり、糖尿病について簡単にお伝えしました。

糖尿病の治療の基本は本来もっとも正しい食生活に戻る、といった
ものであり、けっして特別な病人食を無理やり強制して食べ続け
なければならないといったものではありません。

糖尿病がある方もない方も食事、運動を基本に健康的な食生活を
めざしましょう。
 
また糖尿病の治療は個々によって、違ってきますので、健診などで
糖尿病といわれた方は病院で受診しましょう。
食事療法については、栄養相談を利用しましょう。

糖尿病について知ろう!~糖尿病の合併症・・・

糖尿病は治療をおこたっていると、長期間にわたり高血糖の
状態を続けることになります。
その結果、全身の臓器に異常が起きてきてしまうのです。
それが、糖尿病の合併症といわれるものです。
そして障害が非常に起りやすい部分が3つ(神経・網膜・腎臓)
あり、三大合併症といわれています。

     糖尿病性神経障害

糖尿病の初期から起きやすいとされます。
いろいろな神経系統の異常をきたし、なかでも四肢の
末梢の感覚神経と自律神経に障害が起りやすいです。

手足のしびれや感覚の鈍り、冷え、足の壊疽、勃起不全、
便秘、下痢、立ちくらみ、排尿困難などがあります。


     糖尿病性網膜症
眼球の後ろにある網膜の血管に異常が起きてきます。
糖尿病発症後5年くらいすると、軽症な血管の変化を
認めることが多くなります。

治療をせずに放置すると大出血につながり、失明に至って
しまう怖いものです。


     糖尿病性腎症
良いコントロールが得られないまま10年以上放置すると、
尿中に大量のたんぱく質が漏れ、ネフローゼ症候群を
きたします。

そのまま過ぎると、腎機能が急速に低下して腎不全となり、
人工透析を受けなくてはならなくなります。
非常に管理や治療が困難になります。

  

その他、いろいろな合併症になります・・・
 感染症   ・・・血糖のコントロールが悪いときに感染症にかかると
                    治りにくくなります。

  動脈硬化・・・一般に動脈硬化が進みやすくなります。
                    過食やインスリン(血糖を下げるホルモン)量過多に
                    よって、コレステロールの沈着が進み、心臓病や
                    脳梗塞を引き起こしやすくなります。
                              
 
 歯槽膿漏、皮膚乾燥など
 

糖尿病の場合は、病気が重症か軽症かは、合併症の程度に
よって判断されます。
しかし、人によっては、受けている治療の形によって自己判断
する方もいらっしゃいます。
 
食事や運動などの一般療法だけの場合、インスリン療法を受けて
いる場合よりも軽症と考えることが多いのです。
食事・運動療法のみの方でも合併症が進んでしまう方もいらっしゃ
います。
治療の形で重症度は決められませんので、思い込みは危険です。
病院での治療、自己管理(食事、運動、生活習慣)を合わせて
やっていきましょう。
 
治療内容や食事について詳しく知りたい方は、個々の状態によっても
治療が異なってきますので、病院での受診・栄養相談をぜひ受けて
ください。

次回は糖尿病の治療についてお伝えします。

糖尿病について知ろう!~糖尿病とは・・・

今回から、3回にわたり、糖尿病について簡単にお話しを
したいと思います。

まず、日本には糖尿病の人はどのくらいいるのでしょうか。
平成20年12月に
「平成19年国民健康・栄養調査の結果の概要」が発表され
ました。
「糖尿病が強く疑われる人」は平成9年の約690万人から
約890万人へと約200万人増加となりました。
 
 「糖尿病が強く疑われる人」、「糖尿病の可能性が否定できない人」の推計
(平成9年,平成19年)
 
平成9年
平成19年
「糖尿病が強く疑われる人」
約690万人
約890万人
「糖尿病の可能性が否定できない人」
約680万人
約1,320万人
「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性が否定できない人」の合計
約1,370万人
約2,210万人
厚生労働省「平成19年国民健康・栄養調査結果の概要」より
 
糖尿病人口が増え続けていますが、糖尿病とはどんな
病気なのでしょうか。
 
糖尿病はどんな状態かというと、ひとことでいえば
エネルギーの効率が悪化した状態といえます。
エネルギー(食事)が体に入ったあと、上手に利用できな
かった余分なエネルギーが血液のなかの糖分となって
あらわれてきてしまうのです。
これにより血液中の糖分の濃度(血糖値)が高くなり、
さまざまな障害を起してくるのが糖尿病です。
 
「糖尿病になってしまうと一生治らないのですか?」と
聞かれることもたびたびですが、確かに治らない病気です。
人の体のエネルギーの効率を根本的に変えることは、
体質を変えることと同様に難しいのです。
一時的にコントロールがよくなっても、運動不足、食べすぎの
毎日を続ければ、再び効率の悪い状態に戻ってしまいます。
 
    

 
しかし、糖尿病は取り組み次第で一生治ったと同じ状態を
維持できる病気です。
糖尿病は治らないけれども、きちんとした管理を続ければ
一生よい状態を保つことができるのです。
 

(糖尿病の種類・・・)
糖尿病は大きく分けて、1型・2型・そのほかの特定の機序、
疾患によるもの・妊娠糖尿病と4つに分けられます。
生活習慣病といわれている糖尿病の方はほぼ2型ということ
になるかと思われます。
もともと家族などに糖尿病の方がいて、糖尿病になる体質
であり、そこに運動不足や過食などを続けるなどの生活
習慣や環境によって、糖尿病となってしまうケースがほとんど
です。
 
もし、あなたが糖尿病になりやすい体質でしたら、早めに
食事、生活習慣の見直しをしていきましょう。
そして、糖尿病といわれた方は早めに受診し、治療を開始
しましょう。
次回は、糖尿病の合併症についてお伝えします。

糖尿病の食事相談~近年の食事相談の形とは~

私たち、管理栄養士のもとには先生から
「「栄養士さんに糖尿病の食事をきいてきて」といわれました。」
という患者さんが毎日いらっしゃいます。
まず「食事相談をうけなければいけない」ということにネガティブに
思う方もたくさんいらっしゃいます。
 
社会環境の変化により糖尿病患者が増えたように、食事療法も
食環境の変化の影響を受けてきました。
糖尿病の患者さんが一度は目にしたことがあるような「食品交換表」
が検討され始めたのが、1960年ごろ。
当時はたんぱく質摂取量が少なかったので、たんぱく質が不足しない
ように配慮されていました。
その後、食生活の欧米化が進み、現在の「食品交換表」は脂質を
調整、動脈硬化予防の観点から植物性脂肪や食物繊維を増やし
たりするように配慮されてきました。
 
「食品交換表」に変化があったように、食事相談という形も時代の
流れによって変化してきています。
初診で糖尿病患者さんがいらっしゃっても、「食品交換表」の説明を
いきなり始めるということは最近ではみられなくなりました。
 
相談の流れは次のようになります。
食生活を聞き、問題点を一緒に考えます。
        ↓
必要性や難しさを説明します。
        ↓
食生活で変えられる点をしぼります。
        ↓
必要なら食品交換表をもちいて相談します。
        ↓
外食に対応できるようにします。
といった感じでしょうか。
 
食事という最も基本的な生活習慣の変更を必要とするので、
患者さんにとってそれが何より大変であることを、相談側は理解
しています。
初めて「糖尿病」だと聞くと、治療や合併症に対する不安、落胆、
自由が奪われるような気持ちや家族や友人の関係が変わるのでは
といったことなど、さまざま頭をかけめぐることでしょう。
 
しかし、糖尿病食は健康食ともいわれ、糖尿病をお持ちで食事療法を
必要とする方だけでなく、糖尿病をお持ちでない方にとっても健康を
維持するために最適な食事なのです。
糖尿病の食事相談(療法)の目的は、食事内容や食べ方を提案して、
糖尿病に関わる合併症の予防をしていくことです。
 
最近の食事相談は、取り調べのような雰囲気で聴取するようなことは
なくなってきました。(安心してください!)
一人では難しくても誰かと一緒なら続けられます。
ご一緒に食生活を改善していきましょう。
 
 

食物アレルギー「除去食物」「代替食品」「調理の工夫」

まず、専門医の的確な診断に基づいて食物アレルギーの原因となる
食物を把握し、最小限の食物除去を行いましょう。
 
鶏卵アレルギー
「除去食物」
     鶏卵
     鶏卵を含む加工食品
 マヨネーズ、洋菓子(クッキー、ケーキ、アイスクリームなど)、
 練り製品(かまぼこ、はんぺんなど)、肉類加工品(ハム、ウインナーなど)、
 「エッグ」と表示された加工品、オムレツ、オムライス、かに玉、親子丼など・・・
 
「代替食品」
     肉料理のつなぎ・・・でんぷん(片栗粉など)、すりおろした芋などで代用
     揚げ物の衣・・・水とでんぷんの衣で揚げる
     洋菓子の材料・・・ゼラチンや寒天、でんぷんで代用。ケーキは重曹や
  ベーキングパウダーで膨らませる。
     料理の彩り・・・かぼちゃ、とうもろこし、黄パプリカなど
〇他の主菜でたんぱく質を補おう!・・・魚、肉、豆腐、牛乳など
 
<紛らわしいもの>
     卵殻カルシウム(焼成、未焼成)は食べられます。
     「鶏肉」「魚卵」は基本的に除去の必要はありません。
  (主治医の指示に従いましょう)
 
牛乳アレルギー
「除去食物」
     牛乳
     牛乳を含む加工食品
 ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳、
 一般の調製粉乳、練乳、乳酸菌飲料、はっ酵乳、乳糖、アイスクリーム、
 パン、パン粉、洋菓子類(チョコレートなど)、バターや乳製品を使用した
 調味料(コンソメの素、カレールウなど)など・・・
 
「代替食品」
     クリーム系の料理・・・ルウはすりおろした芋で代用、アレルギー用マーガリン
  やアレルギー用ルウなども利用
     洋菓子の材料・・・豆乳やココナッツミルク、アレルギー用ミルクで代用
〇他の食品でカルシウムを補おう!・・・アレルギー用ミルク、調整豆乳、小松菜、桜エビ、
                        ひじきなど
 
<紛らわしいもの>
     「牛肉」は基本的に除去の必要はありません。
  (主治医の指示に従いましょう)
     「乳化剤、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸菌」などは牛乳の成分は
  入っていません。
 
小麦アレルギー
「除去食物」
     小麦粉
     小麦を含む加工品
 パン、うどん、マカロニ、スパゲッティ、麩、餃子の皮、市販のルウ、一部の酢
 などの調味料など・・・
 
「代替食品」
     ルウ・・・米粉やでんぷん(片栗粉など)でとろみをつける
     揚げ物の衣・・・下味をつけて、水とでんぷん(片栗粉など)の衣で揚げる。
  米粉パンのパン粉や砕いた春雨で代用。
     パンやケーキの生地・・・米粉や雑穀粉、芋やおからなどを生地に代用。
〇他の炭水化物でエネルギーを補おう!・・・ごはん、さつま芋、じゃが芋など

<紛らわしいもの>
     「しょうゆ」「他の麦類(大麦、ライ麦、オーツ麦など)」は、基本的に除去の
  必要はありません。(主治医の指示に従いましょう)
     しょうゆの原材料に小麦の表示がありますが、完成したしょうゆに小麦の
  たんぱく質は残りません。
・「麦芽糖」は食べられます。
 

大豆アレルギー
「除去食物」
     大豆類
     大豆を含む加工品
 豆乳、豆腐、湯葉、厚揚げ、油揚げ、がんもどき、おから、きなこ、納豆、
 しょうゆ、味噌、大豆由来の乳化剤を使用した食品(菓子類、ドレッシングなど)
     しょうゆや味噌は微量で反応する重症な大豆アレルギーでなければ食べら
  れる場合もあるので、主治医に確認。
 
「代替食品」
     しょうゆ、味噌・・・雑穀や米で作られたしょうゆ、味噌や魚しょうゆなどで代用。
〇他の食品で鉄を補おう!・・・鶏レバー、肉類、小松菜、インゲン豆など
 
<紛らわしいもの>
     「他の豆類(小豆、いんげん豆、えんどう豆など)」は基本的に除去の必要は
  ありません。(主治医の指示に従いましょう)
     乳化剤、レシチン、たんぱく加水分解物は、製造会社に大豆が含まれるかの
  確認が必要。
 
その他にも、食品の成分が混入しないように調理器具や食器は分別、洗浄を心がけ
ましょう。
加工食品の購入時は、原材料表示を確かめ、疑問がある場合は製造会社に確認
しましょう。
 
食物アレルギーは、子どもの成長と共に、症状が落ち着く場合が多いものです。
家族みんなで楽しく食事をしながら、子どもの成長を見守ってください。
 

食物アレルギーについて誤解はありませんか?

今年のゴールデンウィークはETC効果もあり、遠出する方も
多かったようですね。
皆様、渋滞疲れはありませんか?

今回は前回から引き続き「食物アレルギー」についてお伝え
します。
食物アレルギーの主な原因食品と、誤解されがちな事柄について
のご紹介です。

 

<食物アレルギーの主な原因食品とおおまかな対応>

〇鶏卵アレルギー
 鶏卵を除去しても、食事のバランスを考えて食べれば栄養上
 問題ありません。
 鶏卵は加熱で抗原性が低減します。
 加熱卵が食べられても生卵や半熟卵には注意です。
                                      
〇牛乳アレルギー
 アレルギー用ミルクは主治医の指示のもと使用。
 料理の材料に利用するなど工夫しましょう。
 牛乳は加熱や発酵で抗原性を低減させるのは難しい食品です。
                
〇小麦アレルギー
 小麦はパンや麺など主食の原材料。
 主食が不足しないように米飯などしっかり食べましょう。
 米粉や雑穀粉でつくられたパンや麺もあります。
                
〇大豆アレルギー
 大豆以外の豆類の除去が必要なことは少ないので、豆類すべての
 除去は不要です。
                                            

その他の原因食品・・・
〇魚アレルギー
 魚のだしは食べられる場合が多く、除去する場合は、しいたけ、
 昆布などでだしをとりましょう。
                                                          
〇肉アレルギー
 肉アレルギーはあまり多くありません。
 除去する場合は鉄を多く含む食品を利用しましょう。
           
〇果物、野菜アレルギー
 加熱により抗原性が低減するため、加熱すれば摂取できる場合が
 あります。
 
〇ピーナッツアレルギー
 学校給食などで使用されることもあるので、誤食に注意しましょう。
 

〇そばアレルギー
 そばと同じゆで汁でゆでたうどんを避けるなど、混入に注意しましょう。
                             

食物アレルギーは成長と共によくなる傾向がありますが、幼児期、
成人になってからの発症は治りにくいとされています。
食べ物別でみると、卵や牛乳、小麦、大豆などは比較的自然寛解しやすく、
魚類や甲殻類、そば、ピーナッツなどは治りにくいとされています。
 
 
<誤解していませんか?>

〇似たような症状でも、食物アレルギーではない場合があります。
 乳糖を体質的に分解できず下痢を起すのは「乳糖不耐症」です。
 また、ヒスタミンなどの薬理活性物質を多く含む食品の摂取で発疹が
 できる場合がありますが、これも食物アレルギーではありません。

〇特異的IgE抗体が存在する=食物アレルギーではありません。
 食物アレルゲンにより体に作られたIgE抗体(これを特異的IgE抗体
 といいます) を持つ人が問題なく食物を摂取している場合もあります。
 特異的IgE抗体の有無だけでは、食物アレルギーかどうか判断する
 ことはできません。

〇アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係は?

 乳児期は、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーが合併している場合
 もあります。
 しかし、幼児期、学童期、成人期のアトピー性皮膚炎には、食物アレルギー
 の関与はほとんどなくなります。
 

〇魚の色で、除去の有無を決めていませんか?
 青身、白身、赤身など、魚の色で区別して除去する必要はありません。
 また、魚全般を除去する場合は、ビタミンDが摂取不足になりやすい
 ので注意しましょう。
 

〇大豆油も除去が必要?
 精製した大豆油にはたんぱく質はほとんど含まれていません。
 ほとんどの大豆アレルギーの患者さんは大豆油の除去は必要ありません。
 ただし、ピーナッツ油やごま油は精製の程度により除去が必要になる
 ことがあります。
 

次回は「除去食物」、「代替食品」、「調理の工夫」についてお伝えします。

食物アレルギー

新年度を迎え、新しい環境となった子どもたちも多いことと思います。
今回は「食物アレルギー」についてお伝えします。
 
特定の食物をとることによって、アレルギー反応が起きて、じんましん・
かゆみ・咳・喘鳴・腹痛・嘔吐など、さまざまな症状が現れることをいい
ます。
引き起こすのは、多くの場合、動植物由来(卵、乳製品、小麦、大豆など)
のたんぱく質で「食物アレルゲン」と呼ばれています。
 

<多い年齢と原因食品>
1歳未満の乳児の発症が圧倒的です。
食物アレルギーと診断されても、成長とともに消化能力や免疫機能が
高まることで、そのうち大部分の子どもは小学校入学までには食べられる
ようになります。

               乳幼児期の食物アレルギーの3大原因食品
順位
0~3歳
4~6歳
7~19歳
20歳以上
1位
鶏卵
鶏卵
甲殻類
甲殻類
2位
乳製品
乳製品
鶏卵
小麦
3位
小麦
甲殻類
そば
果物類
 

<どんな種類があるの?>
新生児期から成人期までさまざまな種類があります。

タイプとして多いのはアトピー性皮膚炎が悪化してくる「食物アレルギーの
関与する乳児アトピー性皮膚炎型」で、主に乳児期に発症します。
また原因食品をとってから2時間以内に発症する「即時型」も多く、皮膚症状
やさまざまな症状を発症します。
         
 
食物アレルギーの分類

分類
発症年齢
頻度の高い食品
新生児消化器症状
新生児期
牛乳(育児用粉乳)
食物アレルギーの関与する
乳児アトピー性皮膚炎  ※1
乳児期
鶏卵、牛乳、小麦、大豆など
じんましん、アナフィラキシーなど
即時型症状
乳児期~成人期
乳児~幼児/鶏卵、牛乳、小麦、そば、魚類など
学童~成人/甲殻類、魚類、小麦、果物類、そば、ピーナッツなど
食物依存性運動誘発
アナフィラキシー   ※2
学童期~成人期
小麦、エビ、イカなど
口腔アレルギー症候群 ※3
幼児期~成人期
果物、野菜など

 

          1 すべての乳児アトピー性皮膚炎に食物が関与しているわけではありません。

     2 特定の食品と運動の組み合わせで、全身にショック症状を引き起こす即時型アレルギー。
     3 果物(キウイ、メロン、もも、など)や野菜が原因で起る口腔内のアレルギー。
 

プロバイオティクスとしての乳酸菌

健康食品を使用される方の中には
「なんだか、いいのかなと思ってとってます。いいんでしょうか」と
質問される方がいらっしゃいます。
 
「乳酸菌」「ビフィズス菌」「ケフィア」・・・最近、いろいろと聞きますが、
どういったものなのかご存知でしょうか。
 
腸内環境を整えるには、乳酸菌の入った食品や腸内環境を整える
働きのある酵素食品をとるとよいといわれます。

腸内細菌バランスを改善して有益な作用をもたらす生きた微生物を
「プロバイオティクス」と呼んでいます。
また、ビフィズス菌のえさとなるオリゴ糖などの、プロバイオティクスを
増やすものを「プレバイオティクス」といいます。
 
そして、プロバイオティクスである乳酸菌もたくさんの種類があります。
           
              
<主な乳酸菌の種類と働き>

(ビフィズス菌)
大腸内の腐敗菌や病原微生物の増殖を抑え、免疫機能を高めます。
ストレスや二日酔いはビフィズス菌を減らす要因となります。

多く含む食品・・・ヨーグルト、乳酸菌飲料
 
(KW乳酸菌)
花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を抑える効果が高い
ことで知られています。
アレルギー疾患はある免疫細胞が関与しており、そのバランスを調整
する働きがあります。

多く含む食品・・・(KW乳酸菌入り)ヨーグルト、乳酸菌飲料
 
(LG21乳酸菌)
胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因となるピロリ菌を減少させる作用のある
乳酸菌として注目されています。
また胃粘膜の荒れを改善する働きもあります。酸に強いので胃の中でも
生息することが可能な乳酸菌です。

多く含む食品・・・(LG21菌入り)ヨーグルト、乳酸菌飲料
 
(ラブレ菌)
100種類以上ある乳酸菌のうち、腸内で繁殖して有効な働きをするのは
15~20種類といわれ、ラブレ菌はそのひとつです。
免疫力が向上する作用があります。

多く含む食品・・・すぐき漬け、(ラブレ菌入り)乳酸菌飲料
 
(ケフィア)
通常のヨーグルトは2,3種類の乳酸菌だけの単一発酵ですが、ケフィアは
6種類の乳酸菌と酵母菌で発酵する複合発酵となります。
近年、話題となった「カスピ海ヨーグルト」は、ケフィアと近縁の乳酸菌と
なります。
便秘解消、胃腸病の改善、コレステロール抑制、免疫力強化などの効果
が認められています。
ずいぶん昔に流行した「ヨーグルトきのこ」はケフィアの別名です。

多く含む食品・・・ヨーグルトきのこ、ケフィア種菌
 

      
 
いろいろな健康食品が出ています。
そういった相談を受けた場合、私たちは使用される方がご自身にあった
選択をできるよう情報提供を心がけています。
  
内容をよく知らずに摂取する、大量にとりすぎる、必要ではないものを摂取
している方も多いようです。
健康食品は本当に必要なものを適量とることが望ましいものです。

(※もちろんですが、医薬品との相互作用も考えられるため、服薬中の方
は医師とご相談ください)

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