脂質part3~不飽和脂肪酸はいいのかな?~

不飽和脂肪酸は炭素の二重結合の数によって、一価不飽和脂肪酸と
多価不飽和脂肪酸に分けられます。
 
《一価不飽和脂肪酸》
脂肪酸の炭素の二重結合が1個だけ含まれるものを一価不飽和脂肪酸
といいます。
常温では液体です。
オリーブ油やサフラワー油に多く含まれます。
酸化しにくく過酸化脂質となりにくいので、動脈硬化の予防効果が期待
されています。
一価不飽和脂肪酸による研究報告が十分にないので「食事摂取基準」では
具体的な数値は設定されていません。
 
《多価不飽和脂肪酸》
炭素の二重結合を2個以上含むものをいいます。
食事から摂取する必要があります。
構造によってn-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸に大別できます。
(ω―6系、ω―3系という場合もあります)
 
(n-6系脂肪酸)
食事から摂取しなければならない必須脂肪酸の代表、リノール酸、
γ-リノレン酸、アラキドン酸の3種類が知られています。
血液中のコレステロール量を減らす作用があります。
しかしとりすぎるとHDLコレステロールも減ってしまうので要注意です。

n-6系脂肪酸の摂取基準
年齢
男性
女性
目安量
目標量(上限)
目標量
目標量(上限)
18~29歳
11g
10%未満
9g
10%未満
30~49歳
10g
10%未満
9g
10%未満
50~69歳
10g
10%未満
8g
10%未満
70歳以上
8g
10%未満
7g
10%未満
    目安量はg、目標量は%エネルギーで示されています。
    18歳以上では過剰の害を考慮して目標量(上限)も設定されています。
 
(n-3系脂肪酸)
α-リノレン酸、イコサペンタエン酸(IPAまたはEPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)
の3種がよく知られています。
魚油、えごま油などに多く含まれます。
血液中のLDLコレステロールや中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを上昇
させる働きがあります。
n-3系脂肪酸の摂取基準
年齢
男性
女性
目標量(下限)
目標量(下限)
18~29歳
2.1g以上
1.8g以上
30~49歳
2.2g以上
1.8g以上
50~69歳
2.4g以上
2.1g以上
70歳以上
2.2g以上
1.8g以上
    虚血性心疾患の予防効果を考慮して18歳以上では目標量(下限)が設定されています。
※目標量ではIPA(EPA)およびDHAを1g/日以上摂取することが望ましい。
 
【食品中のn-6系、n-3系脂肪酸量】

(油)
ごま油(100g)・・・n-6系脂肪酸40.9g、n-3系脂肪酸0.3g
大豆油(100g)・・・n-6系脂肪酸49.7g、n-3系脂肪酸6.1g

(魚類)
さば(100g) ・・・n-6系脂肪酸0.3g、n-3系脂肪酸1.5g
さんま(100g)・・・n-6系脂肪酸0.5g、n-3系脂肪酸4.0g
ぶり(100g)・・・n-6系脂肪酸0.4g、n-3系脂肪酸3.4g
まぐろトロ(100g)・・・n-6系脂肪酸0.6g、n-3系脂肪酸5.8g
 
LDLコレステロールの高い方は肉中心の食事から魚中心の食事に変え
ましょう。
同じ脂質でも脂質の「質」が違います。
しかし脂質は高カロリーですから、魚といっても食べ過ぎればカロリー
オーバーになり太ってしまいます。

肥満は生活習慣病の原因ですから、体重のコントロールも忘れないようにして
生活習慣にとりいれましょう。

 

脂質part2~飽和脂肪酸のとりすぎは・・・~

脂質の「質」は脂肪酸によって決まります。
脂肪酸は脂肪を構成している酸になります。

少し難しくなりますが、化学構造でいうと炭素の数、二重結合の位置や
数によって種類が決まります。
二重結合を含まない脂肪酸を飽和脂肪酸、二重結合を含む脂肪酸を
不飽和脂肪酸といいます。

また炭素の数によって短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸にわけられ
ます。
最近、よく耳にする脂肪になりにくい油、「中鎖脂肪酸」は炭素数が8~10個
のものになります。
 
《飽和脂肪酸の役割》
体の脂肪は中性脂肪のことで、エネルギーが足りないときに分解されて
使われます。
コレステロールの8割は体内で作られますが、飽和脂肪酸は原料になり
ます。
コレステロールは細胞膜や胆汁酸などを作るのに必要です。
 
【飽和脂肪酸のとりすぎは・・・】
体内でコレステロールの合成が進みます。
LDLコレステロールが増え、動脈硬化の原因となります。

飽和脂肪酸の摂取量が多い人ほど糖尿病の発症率が高いという報告も
あります。
しかし飽和脂肪酸の摂取量の多い人は肥満の方も多いので、肥満からの
糖尿病ということも考えられます。
どちらにしても、とりすぎはあらゆる生活習慣病の元となります。

 
【どのくらいとればいい?】
飽和脂肪酸は体内でも炭水化物やたんぱく質から合成されます。
重要なエネルギー源でもあり、生活習慣病のリスクにもなるので、
「食事摂取基準」では下限と上限を設けられています。

飽和脂肪酸の摂取基準(%エネルギー)
年齢
男性
女性
目標量
目標量
18歳~
4.5%以上7.0%未満
4.5%以上7.0%未満

例)必要エネルギー量2000kcalの人なら飽和脂肪酸の適量は・・・
  2000kcal×6%程度÷9kcal=13g
 
【食品中の飽和脂肪酸量】
豚バラ肉100g・・・飽和脂肪酸13.0g
鶏もも皮付き1/2枚(125g)・・・飽和脂肪酸5.4g
ベーコン3枚(60g)・・・飽和脂肪酸8.9g
バター大さじ1杯(12g)・・・飽和脂肪酸6.3g
クリームチーズ(20g)・・・飽和脂肪酸4.1g
 
最近は洋食傾向になり、飽和脂肪酸の摂取量も上昇しています。
洋食や肉類メインの食事をしたら、次の食事は和食、魚・大豆製品を
メインにするなど、1日を通して上手に組み合わせてとりたいものです。

脂質part1~体内での働き・どのくらいとればいい?~

今回から三大栄養素の最後のひとつ、脂質についてお伝えします。

Part2~は特に脂肪酸、コレステロールについてとりあげます。
年2回開催している生活習慣改善講習会でもテーマがコレステロールの回は
盛況でした。

悪者のイメージがついていますが、脂質も立派な栄養素です。
 
脂質は1gあたり9kcalと、炭水化物やたんぱく質の2倍以上のエネルギーを
発します。
効率のよいエネルギー源であり、細胞膜の主要な構成成分です。
一般的に脂肪といえば中性脂肪のことをさします。中性脂肪には脂肪酸が
含まれますが、構成する脂肪酸の種類によって作用が異なります。
 
【どのくらいとればいい?】
「日本人の食事摂取基準」では総エネルギー摂取量にしめる脂質からの
エネルギー摂取量の割合(%)で示されています。
 
総脂質の摂取基準(%エネルギー)
年齢
男性
女性
目標量
目標量
18~29歳
20%以上30%未満
20%以上30%未満
30~49歳
20%以上25%未満
20%以上25%未満
50~69歳
20%以上25%未満
20%以上25%未満
70歳以上
15%以上25%未満
15%以上25%未満

例)必要エネルギー量2000kcalの人なら脂質の適量は・・・
  2000kcal×23%程度÷9kcal=51g
      
肉、魚の脂、ドレッシング、調理用油、パン、お菓子などあらゆるところに油は
使われています。
2008年の国民健康栄養調査では、脂肪エネルギー比率が30%以上の者の
割合は、成人の男性で17.4%、女性で25.0%でした。
特に女性では20~40歳代で30%以上を超える方が3割にのぼっています。
 
【食品の脂質量】
<パン・洋菓子>
食パン6枚切(60g)・・・脂質2.6g
クロワッサン(30g)・・・脂質8.0g
クリームパン(1.8g)・・・脂質11.8g
ショートケーキ(110g)・・・脂質15.4g
シュークリーム(70g)・・・脂質9.5g

<魚貝類>
マグロトロ刺身4切(60g)・・・脂質16.5g
鮭1切(80g)・・・脂質3.4g
さんま1尾(150g)・・・脂質25.8g

<肉類>
豚もも脂身つき・薄切り(60g)・・・脂質11.5g
鶏もも皮付き(210g)・・・脂質29.4g
合びき肉(100g)・・・脂質15.2g
ロースハム1枚(15g)・・・脂質2.1g
ウインナー1本(25g)・・・脂質7.1g

<その他>
普通牛乳1杯(200ml)・・・脂質7.8g
バターピーナッツ(20g)・・・脂質10.3g
木綿豆腐1/3丁(100g)・・・脂質4.2g
油揚げ1枚(20g)・・・脂質6.6g

たんぱく質part4~サプリメントのアミノ酸、プロテインは?~

若い方や筋トレを好む方に人気なのがアミノ酸サプリメントや
プロテインです。
時々効果について聞かれることもあります。
 
最近、個々のアミノ酸が注目されサプリメントなども多いですが、
通常たんぱく質の形でアミノ酸を摂取しているので、動物性・植物性
たんぱく質をまんべんなく色々な食品からとれば自然に摂取できる
ので特定のアミノ酸にこだわる必要はないと思われます。

もし特別偏った食生活を送っていて、不足しているアミノ酸を理解
されていれば補う目的もあるかもしれませんが、まずは良い食生活を
目指した方が早道でしょう。

 
プロテインの原料は牛乳中のホエーたんぱく、カゼイン、大豆たんぱく、
卵たんぱくなどです。
たんぱく質のみで作られたサプリメントになるので、それだけで
筋肉増強の効果があるわけではありません。
体内では1つの栄養素の吸収のために色々な栄養素が助けあって
います。
例えばたんぱく質が体内で利用されるために助けている栄養素の
ひとつがビタミンB6です。
プロテインをとっても、トレーニングをし、たんぱく質以外の栄養素を
摂取しなければ効果はありません。
 
筋肉を作るはずのプロテインもカロリーはありますので、運動もせずに
摂取すれば、かえって肥満につながります。
プロテインを利用する方は、運動もしながら適切な量をとるように
しましょう。

たんぱく質part3~良質なたんぱく質ってどういうもの?・・・必須アミノ酸~

アミノ酸の中には人が体内で合成できないアミノ酸や合成量が少なくて
必要量を満たせないアミノ酸が9種類(乳幼児では10種類)あります。

必ず食事から摂取しなければならないので、必須アミノ酸と呼ばれて
います。

この必須アミノ酸を良い割合で含んでいるものを「良質なたんぱく質」と
いいます。
卵や牛乳、肉などは良質のたんぱく質です。
 
【必須アミノ酸】
イソロイシン、ロイシン、リジン、含硫アミノ酸(メチオニンとシステイン)、
芳香族アミノ酸(フェニルアラニンとチロシン)、スレオニン、トリプトファン、
バリン、ヒスチジン
 
 
【アミノ酸スコア】
たんぱく質の質を評価する指標のひとつに「アミノ酸スコア」があります。
食品に含まれるたんぱく質の必須アミノ酸量を基準値と比較して評価
します。
必須アミノ酸は最も少ないアミノ酸にあわせて他も利用効率が低下します。
基準値より最も割合の少ないアミノ酸を第一制限アミノ酸といい、その
割合がスコアになります。
つまり、必須アミノ酸が1種類でも一定量を満たさないと良質になりません。
最も満たしていないアミノ酸量がスコアになります。
100に近いほど良質です。
 
食品のアミノ酸スコア 
精白米
61(リジン)
小麦粉
42(リジン)
大豆
100
じゃが芋
73(ロイシン)
ほうれん草
64(リジン)
100
牛乳
100
アジ
100
100
アサリ
84(トリプトファン)
牛肉
100
豚肉
100
鶏肉
100
                   第一制限アミノ酸は(  )
 
良質ではなくても他の食品と組み合わせると良質になることもあります。
(アミノ酸補足効果)
米はリジンが61ともっとも少なく、アミノ酸スコアが61になってしまいますが、
豆類にはリジンが豊富に含まれているので、一緒に食べると補給されるので、
食事としてのたんぱく質は良質なものになります。
ご飯に豆料理を加えた食事は優れた食べ方といえます。
 

たんぱく質part2~どのくらいとればいい?~

たんぱく質の必要量は個人差が大きいといえます。
エネルギーを余分にとるとたんぱく質が節約されます。
エネルギー摂取が増すとたんぱく質の蓄積量は増加して必要量は減ります。
エネルギーが不足するとたんぱく質の利用効率は低下して必要量が増します。
 
また、激しい運動をするとたんぱく質の必要量は増します。
しかし、適度な運動はたんぱく質の利用効率を高めて必要量を抑えるので、
運動が必ずたんぱく質の必要量を増加させるとは限らないのです。
極端に生活の活動量が少ない生活では、たんぱく質の利用効率は低下して、
必要量が増します。
他に感染症や外傷などでたんぱく質の必要量は増加します。
高齢者でエネルギー摂取や生活の活動量が少ない場合、たんぱく質の必要量が
若い人より増えることもあります。
 
日本人の食事摂取基準2010年版
年齢
男性
女性
 
推定平均必要量
推奨量
推定平均必要量
推奨量
18~29歳
50g
60g
40g
50g
30~49歳
50g
60g
40g
50g
50~69歳
50g
60g
40g
50g
70歳以上
50g
60g
40g
50g
<推定平均必要量>とは、性別および年齢階級ごとに、当該性別および年階級に属する者の半数について、1日あたりに必要とする栄養素の量を満たすと推定される摂取量のこと。
<推奨量>とは、性別および年齢階級ごとに、当該性別年齢階級に属する者の大多数について、1日あたりに必要とする栄養素の量を満たすと推定される摂取量のこと。
 
【食品のたんぱく質量】
<魚貝類>
マグロ赤身刺身6切(80g)・・・たんぱく質21.1g
鮭1切(80g)・・・たんぱく質17.8g
 
<肉類>
牛もも赤身薄切り3枚(90g)・・・たんぱく質20.3g
豚ロース赤身厚切り1枚(90g)・・・たんぱく質20.4g
 
<その他>
卵1個(50g)・・・たんぱく質6.2g
納豆1パック(50g)・・・たんぱく質8.3g
チーズ1切(20g)・・・たんぱく質4.5g
 
摂取基準と比べていかがでしょうか?
必要以上にとりすぎの方も多いかと思います。
とりすぎはカロリー過多をまねきます。
一方で、昼食は麺やパンだけという方は不足しているかもしれませんね。

たんぱく質part1~体内での働き~

今回からpart1~4にわけて、三大栄養素のひとつ、たんぱく質について
お伝えします。
   
 
私たち人間の体は約10万種類ものたんぱく質でできています。
骨格や筋肉、皮膚、毛髪、内臓などあらゆる組織を構成する材料です。
たんぱく質はアミノ酸がたくさん結合したものです。

人のたんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、組み合わせや種類、
量によって、働きの異なるたんぱく質が作られます。

どのたんぱく質も分解と合成を繰り返しながら、一定量を保っています。
 
体の代謝や機能を調整したりする酵素やホルモン受容体、神経伝達物質
受容体もたんぱく質でできています。
赤血球中の酸素を運搬するヘモグロビンなどの血液の成分、免疫物質も
たんぱく質の一種です。
 
また、たんぱく質は1gあたり約4kcalのエネルギーを発生し利用されて
います。
         
【たんぱく質が不足すると?】
体たんぱく質は分解と合成を繰り返しています。
分解され、アミノ酸になると一部は尿素などになり体の外に出されます。
たえず作り変えられるので、食事から補給する必要があります。

不足すると体力、思考力の低下など体全体の機能低下につながって
しまいます。

また、乳幼児や成長期の子どもの場合は成長障害が起ります。
 

【とりすぎたら・・・】
特に動物性たんぱく質の食べ過ぎは動物性脂肪やプリン体の量が多く
なることがあります。
それによって動脈硬化や心臓病、痛風などの生活習慣病になりやすい
ので注意が必要です。

その他、食品から過剰にとった分は尿中に排泄されます。
そのため、腎臓に負担がかかります。

糖の代謝を担うインスリンの働きが悪くなることがあります。

カルシウムの尿への排出量が増加して、骨粗鬆症につながる可能性も
あります。

炭水化物part4~食物繊維のいろいろ、糖質・糖類の違い~

●食物繊維のいろいろ
食物繊維は大きく分けると水溶性、不溶性があります。

不溶性のものには穀類や野菜に多く含まれるセルロースやリグニンなど、
水溶性のものには果物に多く含まれるペクチンなどがあり、色々な生理
作用をもっています。

特定の食品に頼らず、組み合わせてとりましょう。

 
【350gの野菜】
「健康日本21(厚生労働省による健康づくり運動)」では、1日350g以上の
野菜をとることが推奨されています。

食物繊維、カリウム、抗酸化成分は循環器疾患やがんの予防に効果が
あると考えられています。
これらの成分をとるのに野菜の寄与が大きく、350g以上の野菜をとることが
必要と推定されています。
野菜を350~400g食べると、食物繊維は約18g摂取することができます。
 
【人工の食物繊維】
飲料などの加工食品によく利用されているポリデキストロースなどの水溶性
の食物繊維があります。
分子量が天然の食物繊維より小さいので、作用は天然のものより弱いと
考えられています。
 
【オリゴ糖】
オリゴ糖は単糖類が何個かつながったものです。
消化されにくいものがあり、難消化性オリゴ糖と呼ばれ、広い意味では
食物繊維に分類されます。
 (一般には糖質として扱われることが多いようですが)

腸内細菌の栄養となり、腸内環境を改善してくれる働きがあります。
便秘の解消に役立ち、「おなかの調子を整えたいかたに適する食品」として
特定保健用食品となっています。

甘味料としても用いられ、エネルギー量は砂糖の約半分。

 
●糖質・糖類の違いは?
「糖質オフ!」「糖類ゼロ!」などといった商品がありますね。
違いは何でしょうか。
「糖質」は「炭水化物」から食物繊維をのぞいたものです。
「糖類」は単糖類(ぶどう糖、果糖等)と二糖類(しょ糖(砂糖)等)のことです。
 
つまり多糖類である、でんぷんは「糖類」に入りません。
 
飲み物などで糖類が使われていないのに甘い製品があるのは糖アルコール
や非糖質系甘味料等が入っているからです。
 
炭水化物-食物繊維=糖質
炭水化物>糖質>糖類
糖類は糖質の一部ということです。

「糖分」となると、あいまいになってきます。
糖類の中でも甘いもの、糖の量を指しているようです。

炭水化物part3~食物繊維の体内での働き、どのくらいとればいい?~

食物繊維は「ヒトの消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」
に難消化性オリゴ糖などを含めたものをいいます。

食物繊維は、水にとけない「不溶性食物繊維」と水にとける「水溶性食物繊維」
とに大きく分けられます。
 
【不溶性食物繊維の働き】
腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を盛んにして、食べた食品の通過時間を短く
します。
便の量を増やし、便の排泄を促します。
そういった働きが腸内環境を改善して便秘や腸の病気予防に役立ちます。
 
【水溶性食物繊維の働き】
水分を吸収して、ふくらみ、食べた食品の胃での滞留時間を長くさせます。
小腸で糖が吸収されるときに、ふくらんだ水溶性食物繊維によって、糖が
消化酵素と接しにくくなるため血糖値の上昇がおだやかになります。

またコレステロールの吸収もさまたげ、排出されやすくします。
そういった働きが糖尿病や脂質異常症の予防、改善に役立ちます。

 
【どのくらいとればいい?】
1日に必要な排便量から見たときの食物繊維の摂取量は12025gといわ
れています。
野菜、きのこ、海藻類に多いので積極的にとりたいです。
 
<食物繊維を多く含む主な食品>
玄米ごはん・・・100g1.4g(ごはん1150g2.1g
ゆで大豆    ・・・100g7.0g150g3.5g
ごぼう         ・・・100g5.7g1/450g2.9g
ブロッコリー・・・100g4.4g1/460g2.6g
えのきたけ ・・・100g3.9g1/240g1.6g
ひじき         ・・・100g43.3g(大さじ15g2.2g
                                  など・・・
 
【もし不足したら・・・】
排便がスムーズにおこなわれなくなり、便秘になります。
 
【とりすぎたら・・・】
通常、食事で大量にとることは、難しいのでとりすぎることはありません。
難消化性オリゴ糖を添加した食品を大量にとると便がゆるくなることが
あります。
またサプリメントなどで大量にとると下痢をおこしたり、必要な栄養素の
吸収のさまたげになったりする場合もあります。

炭水化物part2~低炭水化物ダイエット?再流行?~

外来では、「ごはんをぬいたら、どうだろう?」という質問もよくあります。
また最近では芸能人の行なった「肉ダイエット」や「魚ダイエット」など、
単品に頼る減量方法を取り上げた番組も報道されています。
  

                                                        

7~8年くらい前に流行った「低炭水化物ダイエット」をご存知ですか?
『炭水化物の摂取でインスリンの分泌が過剰になり、満腹感を感じる
ことができなくなる。
炭水化物を欲してやめられなくなる「炭水化物中毒」になるので、炭水
化物の量を減らしましょう』とすすめているものでした。

「肉ダイエット」「魚ダイエット」と名前は違っても、方法としては、主食や
その他の食品を抜く偏ったものです。
「炭水化物中毒」という存在は認められていません。
肥満者が医師の管理のもと、治療上「糖質」を制限するのは別として、
健康な人にはすすめられないダイエット法ですので注意しましょう。
                                                                 
炭水化物は重要なエネルギー源です。
エネルギー源にはほかに脂質とたんぱく質があり、いずれかで必要な
エネルギーを満たせばよいというものではなく、それぞれが体に必要で、
バランスよくとることが重要なのです。
一般的には、1日の必要なカロリーに対して、たんぱく質15~20%、
脂質25%以下、糖質約60%が理想的な割合です。
 
どちらにしても、無理な食生活は続けられないのでリバウンドしたり、
体調を崩したりします。
単品での食事制限で急激にやせた芸能人たちもリバウンドしている人
がたくさんいます。
骨や筋肉が一緒に落ちるので、体脂肪率が増え、さらに太ってしまうこと
もあります。

急激に減量しても、維持できなければ成功とは言えません。
少しずつ生活習慣を改善しなければ、良い状態は維持できないでしょう。
 

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